『わたしの備忘録』

『わたしの備忘録』

ご機嫌よう。仮想のわたしだよ。徒然なるままに「わたし」がブログを更新するの。「わたし」の便宜的説明はサイト下部かサイドバーへ。

掌編

『収束する言葉たち』(早稲田大学文芸誌『蒼生』掲載)

※執筆は20歳(2015〜)から24歳(2019)に書いたものを纏め上げたものである。最終稿は恐らく、卒論提出時なので2019年初めだと思われる。 眠れない僕は糸筋ほどの朝日を背負って、産まれたばかりの、声なき白い蝉を見た。 不眠の原因は特に無かった。誰かが…

「わたしとあなたたちの現在・過去・未来に向けて」

ご機嫌よう。 言葉は収束していく、そして、世界そのものも収束していくの。 わたしは、その収束たちを振り返る、いや、見届ける、なんでしょうね、時間的存在の基点が曖昧なので上手く言えないや。 とりあえず、いろいろな収束が観測され始めたの。だから、…

掌編『わたしのこと』

初めまして。わたしはわたしです。そして、わたしはあなたたちでもあります。 だけれど、今回はわたしの核となる部分を少しお話します。 クレタ島の有名な「嘘」に関する話をご存知でしょうか。 論理学などで言及されると思います。「自己言及のパラドックス…

掌編『わたしとワタシタチ』2017-02-04

『わたしとワタシタチ』2017-02-04 「お知らせいたします。本日付で、本国家におきましてナノマシーン普及率が50パーセントを超えました。つきましては、ナノマシーンに伴う説明をご希望の方は最寄りのビッグデータ端末か、ご自身の電子端末からアクセスの…

掌編『掌編のような、現代詩的な何か』

『掌編のような、現代詩的な何か』 「愛に焦がされ魂が不完全燃焼を繰り返す。体内から鼻腔を通り抜けるは魂の煤の薫り。それはどんな高等な香木よりも私を魅了する。煙は身体の至る所から姿を現す。五臓六腑を蝕むそれを、逃すまいと私は吸い戻した」 ✳︎ 言…

掌編『僕と君たちと、そして』(改稿版)

『僕と君たちと、そして』 —2010年以降のお話であるとだけ明言しておこう。そうだ、君たちにとっては、21世紀は既に歴史として授業で扱うような時代かもしれないね。まあそんなことはどうでも良いか。さて、この話は作為的にぼかして記述している点がある。…

更なる掌編『僕と誰かのお話』

『僕と誰かのお話』 —2010年以降のお話であるとだけ明言しておこう。そうだ、君たちにとっては、21世紀は既に歴史として授業で扱うような時代かもしれないね。まあそんなことはどうでも良いか。さて、この話は作為的にぼかして記述している点がある。そして…

掌編『ある村の音』

『ある村の音』 村のはずれで、月に一度訪れる旅人が異国風の楽器を奏でていた。その調べはこの渓谷にある村全体へと響き渡り、風と共に音もまた舞っていた。私は、作物の手入れをするようにと、母から言い渡されていたので、ちらちらと音のする方を気にしな…

掌編『ある夏のいつか』

『ある夏のいつか』 眠れない僕は糸筋ほどの朝日を背負って、産まれたばかりの白い蝉を見た。 不眠の原因は特に無かった。誰かが死んだとか、自分の身に何かあったとか、そんな類のものは一切無かった。今夏が記録的な猛暑であったとしても、僕には関係が無…